第1弾はCPUグリスの塗り直し、第2弾はメモリー増設に続くパソコンのメンテナンス企画第3弾!今回は僕が使っているマウスコンピューターの「NEXTGEAR-MICRO im550BA4-SP2」に搭載されているグラフィックカードで、ZOTACの「GeForce GTX 750 Ti」に対してグリスの塗り直しに挑戦してみることにしました。
このパソコンは2014年に購入し、購入時点で同グラフィックカードを搭載していましたが、記事執筆時点である2023年現在においてグリスの塗り直しは一度も行っておりません。
実は先日、このパソコンに搭載されているCPUにグリスの塗り直しを初めて行ったのですが、使い切りサイズのシリコングリスを用意したものの容量が少しだけ余ってしまったので、グラフィックカードのGPUにもついでに塗ってしまおうと閃いたわけです。
CPUのときと同様にGPUへグリスを塗布するのは今回が初挑戦となりますが、ネットの情報を参考に作業工程を勉強させてもらいつつ初心者ながら慎重に頑張ってみました。当エントリーではグラフィックカードへグリスを塗布する方法と、作業中に気付いたことなどをまとめていきたいと思います。
ZOTAC「GeForce GTX 750 Ti」の紹介
こちらが今回グリスの塗り直しを行うグラフィックカードで、ZOTACから発売されたGeForce GTX 750 Tiになります。オレンジのファンがかっこいい。
そこそこ高いグラフィック性能を持ちながら補助電源なしで動作する点において、GeForce GTX 750 Tiは発売当時に注目を集めた製品でした。2014年にデビューした古い製品ですが、高いスペックを要求されるゲームを遊ぶ予定はないので普段使いであれば必要十分の性能。
こうやってケースの蓋を開けてパソコンを弄っているとより性能の高いグラフィックカードに交換したい欲求が湧いてきますが、いまはグラフィック性能は求めていないのできっと最後まで使い続けることでしょう。今回のグリスの塗り直しはそのためでもあります。
グラフィックカードを取り外す方法
まずはパソコンのマザーボードからグラフィックカードを取り外すところから作業を始めます。
グラフィックカードの端っこの方に目を向けると、パソコンのケースにブラケットと呼ばれるパーツを介してグラフィックカードがネジで固定されていることが分かります。ここではプラスドライバーを用意してネジを取り外しましょう。そしてネジは紛失しないように保管しましょう。
余談ですが、最近のグラフィックカードはGeForce GTX 750 Tiに限らずPCI-Expressを2スロット専有するものが一般的のようですが、僕が昔使っていたGeForce 4シリーズが主流だった頃は、性能がハイエンドな部類でもスロットは1つか専有しませんでした。それだけ最近のグラフィックカードは性能だけでなく消費電力や発熱も増えたわけですね。
次にグラフィックカードが挿し込まれているPCI-Expressスロットに目を向けてみると、端っこにツメがあることが分かります。ここではツメを指で押して外側に開きます。
このツメを開くことでグラフィックカードが固定されているのを解除することができます。
ネジの取り外しとツメの解除ができたら準備完了。
PCI-Expressスロットに挿し込まれたグラフィックカードを、ゆっくりと手で持ち上げていきます。
クーラーを取り外す方法
続きまして、グラフィックカードに取り付けられているクーラー(冷却ファン)を取り外していきます。
グラフィックカードを裏返すと、クーラーを固定するために基盤に対してネジが使われていることが分かります。ZOTACのGeForce GTX 750 Tiの場合だと、ネジが4つ(↑赤丸で囲った箇所)使われているようです。
ここではドライバーを使ってこれらのネジを外していきます。
このときにドライバーの先端部分で基盤を傷つけないように気をつけて下さい。また取り外したネジは紛失しないように保管しましょう。
すべてのネジを取り外したら基盤からクーラーを取り外すことができますが、この工程はゆっくりかつ慎重に行うようにします。
その理由として、はじめはクーラーが被さっていたので外観からは見えませんでしたが、基盤とクーラーがこのようにケーブルで接続されていることにあります。勢い余ってしまうと基盤やケーブルの破損に繋がりかねません。
このケーブルは冷却ファンを回すための電力を供給するもののようです。必ずしも抜く必要はありませんが、クーラーの掃除など作業に邪魔になるようであれば必要に応じてケーブルを一旦抜いておくと良いでしょう。
GPUにグリスを塗る方法
こちらがグラフィックカードに搭載されているGPUと呼ばれる部品で、Windowsの描画を司る心臓部とも言えるものになります。
表面には灰色の汚れみたいなもが付着していますが、これがグリスだったわけですね。触ってみると固まりかけた粘土のようになっており、劣化によってすでにグリスの体を成してはいませんでした。
気付いた点として、CPUはコアそのものがヒートスプレッダで覆われていましたが、GeForce GTX 750 Tiはコアが剥き出しになっていました。そのためグリスの塗り直しはコアを損傷させないように慎重な作業が求められることになります。
新しいグリスを塗布する前に、古いグリスを拭き取る必要があります。エタノールを使うなどすればグリスをきれいに拭き取ることができるようですが、あいにく手元にないのでティッシュを使用することにしました。
コアを傷つけないようにするのはもちろんのこと、その周辺には無数の”-“のような出っ張りがあるので、その出っ張りにテッシュを引っ掛けないように慎重に拭き取りを行いました。
またクーラー側に付着したグリスについても、このタイミングで取り除いておくと良いでしょう。
グリスを拭き取ることでコアに刻印された文字を読み取れるまでになりました。”TAIWAN”の文字があるのでどうやら台湾で製造されたもののようですね。
しかし見て分かるように、その周辺にあるグリスを拭き取ることは妥協することにしました。ティッシュで拭き取ろうとすると、”-“に引っ掛かりそうで壊してしまいそうな気がしたからです。
次はグリスを塗り直していきます。
今回使用したグリスはアイネックスの「GS-01」になります。使い切りサイズが特徴で、お寿司に付いてくる醤油の小袋と同等の内容量になっています。製品については当サイトの下記記事でも紹介しています。
コアに盛ったグリスを薄く伸ばしていきます。
先端が平らなヘラがあると理想ですが、手元に無いので今回はプラスチックのスプーンを使いました。
グリスの塗り直しが完了しました。
量がちょっと多かったかなということと、周辺に塗りこぼしができてしまって綺麗に塗ることができなかったことが反省点です。はみ出たグリスは拭き取りたいのですが前途と同じ理由で諦めました。
グリスの塗り直しが完了したあとにクーラーを取り付けますが、このときに冷却ファンに付着したホコリなどの汚れもついでに掃除しておくと良いでしょう。こうやってグラフィックカードを分解する機会はそうないですからね。
クーラーの取り付けはコアやその他部品類を傷つけないように慎重に作業を行いましょう。
グラフィックカードを増設する方法
最後に、メンテナンスが終わったグラフィックカードをPCI-Expressスロットに挿し込みましょう。
このときにグラフィックカードに対して”ツメ”が固定されたことを確認します。きちんとスロットの奥まで挿し込むとツメが内側に倒れると同時に”カチッ”という音が聞こえるはずです。あとはネジを使ってケースに固定したり、補助電源ケーブルを差し込んだりしましょう。
すべての作業が完了したら、パソコンの電源を入れて動作テストを行います。ディスプレイに映像が正しく表示されるのはもちろん、ベンチマークで負荷をかけて温度に異常が起きてないかを確認します。
以上、お疲れ様でした!
まとめ:Haswellおじさん継続中
ZOTACのGeForce GTX 750 Tiのメンテナンスを無事終えることができました。グラフィックカードはGPUコアが剥き出しだったので緊張感のある作業となりましたが、その後もパソコンは正常に動作しているようでホッとしています。
ちなみにGPUの温度に変化があるか検証してみたのですが、グリスの塗り直しの前後で目立った変化が生じることはありませんでした。低負荷時は30度前後、高負荷時は60度前後で推移するようです。ほぼ乾燥状態のグリスでしたが、その役割はまだ果たせていたのでしょうか。
今回は2014年から長年稼働を続けていた10年選手のパソコンに対して、CPUグリスの塗り直し、メモリー増設とメンテナンスを終えたことで、パソコンだけでなく自分の気持ちも不思議とリフレッシュできました。搭載されているCPUがCore i7 4770なので俗に言うHaswellおじさんではありますが、普段使いに支障はないのでもう少しだけこのパソコンで粘り続けようと思っています。